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ぶどう畑での仕事

急斜面の畑を耕す
急斜面の畑を耕す 厳しい冬もやっと終わり、段々と暖かくなってきたな、と感じる4月、ブドウの木々は、いっせいに芽を出します。
写真の作業は、春から秋にかけて数回行なわれる作業です。鍬の刃のようなものが十数個取り付けられたソリを、畑の急斜面を下から上へと、トラクターのウインチによって引き上げます。
この作業により畑は耕され、雑草は取り除かれ、日々の作業によりすべり落ちていった土も盛り直されます。
急斜面のブドウ畑で、機械の力を借りることのできる作業は、この作業ただ一つと言っても良いでしょう。

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肥料をまく
肥料をまく ぶどうの開花から夏にかけて、ぶどうの木は一番栄養を必要とします。一番必要な時期に肥料をまくのでは、それは既に遅すぎます。ぶどうの芽が出て、開花するまでの間に、肥料をまくのが最適とされています。ブドウ畑の肥料としては、牛糞が最適とされているようですが、なかなか入手しにくい今日、ぶどうの搾りかす(ぶどうの皮、種、茎等)などは、手軽に入手できる肥料としてよく使われています。このぶどうの搾りかすは、Trester(トレスター)とよばれ、これからSchnaps(シュナップス:蒸留酒)も作られます。これらの蒸留酒は、イタリアではグラッパ、フランスではマールと呼ばれ重宝されています。

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新梢の矯正
新梢の矯正 新梢がすくすくと伸びるころに始まる作業を、 Heften(ヘフテン:留める)またはBinden(ビンデン:結ぶ)、Aufbinden(アウフビンデン:結び上げる)と呼びます。いずれも、作業の動作に由来する名前であると言うのは、写真を見て頂くとお分かり頂けると思います。
ある程度伸びてきた枝は、自分勝手な方向に伸びないように、矯正されなければなりません。その方法としては、ワラのヒモで枝を結び上げたり、垣根仕立ての畑では針金に枝をからめて留める、等があげられます。
このヘフテンという作業は、枝の成長に合わせ、枝の成長が落ち着く9月頃までに、3回くらい行なわれます。
この写真より枝が成長した頃の作業では、枝を留めるだけでなく、徒長した(無駄に伸びた)枝や、不必要な枝は、積極的に落としていきます。また、葉が必要以上に密集している場合は、葉も少量除きます。
この作業により、太陽の恵みを有効に受けることができ、風通しが良くなることにより、カビなどによる病気も予防できます。

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枝先を切り落とす
枝先を切り落とす この作業はGipfeln(ギプフェルン)とよばれ、7月の中頃から9月頃まで2回くらい行われます。本来この言葉の意味は、「頂点に達する」などと言う意味なのですが、我々が使う場合、ブドウ木の枝の頂点を切り落とす作業を意味します。
この作業を行なうことによって、上へ上へと伸びるぶどうの木の力を、ぶどうの成熟のみに集中させます。
ギプフェルンを終えた畑は、収穫を控え、ブドウが熟すのを待つだけです。

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収穫
収穫 ぶどうが完全に熟すと、待ちに待った収穫が始まります。この時期がワイン醸造所にとって一番忙しいといえるでしょう。天候によっては、ぶどうの状態の良いうちに、一気に収穫を済まさなければならないこともあります。そのため、この時期ぶどう畑では、通常の数倍の人が働いています。収穫には、ポーランドの出稼ぎ労働者が多く参加します。

小さな家族経営の醸造所の責任者は、収穫の仕事が終わっても、醸造の仕事が深夜まで続くので、連日5時間以下の睡眠というのも当たり前です。

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剪定
剪定  一年で一番忙しいとき、収穫。 収穫が終わると、その慌ただしいときがまるで夢であったかのように、畑はひっそりとしています。葉も段々と落ちていき、夏のあの青々とした畑とは違い、畑の中に居ても端から端まで見通せます。
 収穫の終わったブドウの木は、次の収穫に向けて不必要な枝を切り落とす作業、剪定が行なわれます。この作業は、ブドウの木が休眠している間(12~2月頃)行なわれます。
 畑での作業も色々とありますが、この作業が、一年で一番重要な作業と言えるかも知れません。なぜならば、このときに選んだ枝の芽の数で、ほぼ収穫量が決まるとも言えるからです。勿論、その後の天候や、開花の状況にも大きく左右されますが。
 剪定は、ただ枝を切っていけば良いと言うわけではなく、頭を使わなくてはならない仕事です。なぜならば、枝を選ぶときには、どの枝を選んでも良いのではなく、必ず二年目の枝から出ている一年目の枝を選ばなくてはなりません。また、同じ二年目の枝でもより状態が良く、より幹に近いものを選ばなくてはなりません。また全ての選択は、翌年の剪定のことをも考慮していなくてはなりません。
 なぜ、剪定のときに残される枝が、二年目の枝から出ている一年目の枝でなければならないかと言うと、三年以上を経た枝および幹から出た、一年目の枝の芽からその年育つ新梢は、ブドウの実を付けないことが多いからです。二年目の枝から出た、一年目の枝の芽からその年育つ新梢には、通常2~3、多くて4つの実がなります。
 このことから、このとき残す芽の数により、おおまかな収穫量のコントロールができるということがお解かり頂けるでしょう。 剪定を終えると畑は、ますますすっきりしてしまいます。
 何一つ視界を邪魔するものはないので、どこまでも見渡すことができます。
 剪定のときに切り落とした枝は、更にある程度の長さにきり、作業道に規則正しく並べておきます。後々作業の邪魔になるこの枝達は、後日特別な機械によって砕かれるからです。

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剪定した枝の矯正
剪定した枝の矯正 剪定を終えたブドウの木は、樹液を均等に行き渡らさせ、新梢を均等に成長させる目的で、枝を急角度で曲げられます。この作業はBiegen(ビーゲン:曲げる)と呼ばれます。
写真は、昔ながらの栽培方式、Einzelpfahlerziehung(アインツェルファールエアツィーウング:日本では『柱仕立て』等と呼ばれる)をビーゲンしたところ。枝を留めるために、柳の枝を使用しています。柳の枝は、伸縮性があり、ブドウの木には一番優しく、古くから使われています。
今日では、紙の巻かれた針金やプラスティックで出来たものなども使われます。

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新しい畑を作る1
新しい畑を作る1  畑の世話が一段落ついたと思っても、ワイン農家では新しい仕事はすぐに見つける事が出来ます。毎年ある仕事ではありませんが、新しい畑を作るのも、時間のあるときの仕事の一つと言えましょう。
 写真は、新しく苗木を植えた畑に、垣根仕立てのための支柱を打ち付ける作業をしているところです。たった1500㎡という畑でも、そのための杭は何百本と必要です。その杭は、Schlagkatze(シュラークカッツェ)という道具を使い打ち付けていきます。 平坦な畑では、機械を入れてこの作業を行うことが出来ますが、このような急斜面の畑では手作業で行わなければなりません。

 Schlagは「打つ」Katzeは「猫」という意味です。この道具で杭を打ちつけるときの音が、猫を殴った時の声に似ているからかは定かではありませんが、この作業の一種独特な音は、畑中に響き渡ります。

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新しい畑を作る2
新しい畑を作る2  Drahtrahmenerziehung(ドラートラーメンエアツィーウング:針金枠栽培) は、名前の通り針金の枠を使った栽培方法です。日本では、『垣根仕立て』と呼ばれています。 シュラークカッツェによって、規則正しく斜面に打ち付けられた杭は、針金を通すためのカギ状になった釘を打ち付けられます。
最後に針金を張れば出来上がりです。
一度造られた畑は、20年30年と、何十年にも渡って使われるのが普通です。

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